今回から円柱流れを考えてみる。
これまでのパターンではMapleで作成した解説を先に公表していたが、今回は他アプリケーションの結果をベンチマークとして、FlexPDEのFEM結果を比較してみたい。
1 ベンチマークとして利用したアプリケーション
FeatflowのHPを開いてBenchmarksをクリックすると、Single Phase Navier-Stokes Equationsのタイトルで円柱流れの結果が4件見つけられるはず。一番初歩的な「RE20, Laminar」のケースを今回は採用した。計算条件は以下の通り
(1)計算モデル形状
X-Y方向の2Dモデル。幅0.42m(Y)、長さL 2.2m (X)のダクトに流体を流す(深さ方向Zは1mとする)。ダクト流入口から0.2mの位置に、流れに抵抗するように半径r 50mmの円柱をZ方向に立てる。
(2)流体条件
密度ρ 1.0 kg/m3の気体。温度は規定なし。動粘度ν 0.001 m2/s(ρ=1.0なので、粘度μは0.001 Pa・sとなる)。ダクト入口から一様流速u 0.2 m/sで流し込む。
(3)境界条件
vx=0:ダクト壁、円柱表面
vy=0:ダクト壁、円柱表面
p=0:ダクト出口
2 FlexPDEの結果(FEM計算)
(1)モデルのグリッド(自動グリッドでノード105、セル165)...図1
流体は左側から流入する。

(2)修正レイノルズ数(MRe)...図2
カラーバーを見た通り全体的に約32.17なので、まだ層流状態である。ちなみにFeatflowベンチマークではRe20。

(3)流速コンター(vm、つまりsqrt(vx^2+vy^2))...図3
円柱と壁の間が流速最大0.36m/sで、円柱後部は流速最低0m/sである事が判る。またダクト出口では0.28m/s最大で放物形に分布していることが図8で判明する。
先のベンチマークの流速コンター図で読み取れた値を下に表記する。概略近い値を示している。
FlexPDE Featflow
円柱ー壁間最大部(m/s) 0.36 0.4
円柱後部(m/s) 0 0
ダクト出口最大部(m/s) 0.28 0.28

(4)流速ベクトル(vx,vy)の拡大...図4
円柱後部で渦を巻いている、つまり双子渦の発生がはっきり判る。流体力学のテキストではレイノルズ数 6<Re<40の範囲で双子渦が見られると記載ある。

(5)圧力コンター(p)...図5
ダクト流入口の圧力は約0.07Pa、円柱先端部は0.13Paで最大圧力を示す。ダクト出口がゼロ(大気圧)になっているのは境界条件で指定しているからだ。
先のベンチマークの圧力コンター図で読み取れた値を下に表記する。概略近い値を示している。
FlexPDE Featflow
円柱先端部(Pa) 0.13 0.12

(6)圧力コンター(p)の拡大...図6
円柱左側に圧力の最大点0.13Paが、円柱最大径を過ぎた直後に圧力の最低点-0.01Paが見える。先のベンチマークの圧力コンター図も同様な絵である。
そのベンチマークには、円柱前後の差圧が0.1Pa実測されたことも記載されている。
ともかく圧力による抗力発生が容易に予想される絵だ。

(7)入口流速(vx)...図7
境界条件で一様流速0.2m/sを指示した通りになっている(ム?ギザギザじゃないの?と訝った方がいるかもしれないが、無料使用の範囲では精度がこの程度である)。

(8)出口流速(vx)...図8
0.28m/sを頂点に放物形の分布を示している事が判る。

(9)質量保存則(div_vのコンター)...図9
連続の式を計算した。カラーバーから、円柱付近を除き全体的にゼロと見て取れる。うまく発散して質量保存則が成立している証拠だ。

計算に使用したFlexPDEのコードとその説明は次回とする。